意外な因果関係 “匂い”が分からなくなったら「認知症」を疑え
「脳の神経変性疾患は早期に嗅覚障害を伴うことが知られていて、代表的なのはアルツハイマー型認知症やパーキンソン病です。脳の中で匂いを認知する部分の変性によって嗅覚障害が起こると考えられています」
■運動障害が表れる数年前から嗅覚障害が生じることも
最初は、モノの匂いの識別が障害され、匂いはしてもそれが何かは分からなくなる。やがて神経疾患が進行して嗅覚障害も悪化していく。
手足のふるえや筋肉がこわばるパーキンソン病では、運動障害が表れる数年前から嗅覚障害が生じる。アルツハイマー型認知症などは、その前段階である軽度認知障害の時点から匂いが分からなくなるという。
「つまり、原因不明の嗅覚障害の中には将来、神経変性疾患を発症するリスクが含まれるということです。むろん、嗅覚障害を合併しない神経変性疾患もありますから、すでに神経変性疾患を発症している患者さんに嗅覚検査を行えば、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病などとの鑑別ができます。また、まだ症状が表れていないアルツハイマー型認知症やパーキンソン病だった場合、症状の進行度や認知障害発症の予知につながるというわけです」