意外な因果関係 “匂い”が分からなくなったら「認知症」を疑え
ただし、アルツハイマー型認知症やパーキンソン病による嗅覚障害の大半は、本人が自覚していないという。では、食べ物の味には変化が表れないのか。
「味は舌で感じるものですが、鼻をつまんで食べてみると分かるように、味には嗅覚も強い影響を及ぼしています。嗅覚障害があれば“風味”が感じられなくなるので風味障害が起こります。味がおかしく感じる場合もあると思います」
認知症やパーキンソン病を早期発見できれば薬などで進行を遅らせることはできるが、いまのところ嗅覚障害を治す手立てはない。匂いを認識させる嗅覚トレーニングが有効という研究結果はあるが、まだ十分ではないという。
60代になって周囲から匂い音痴を指摘されたら、嗅覚検査を受けた方がよさそうだ。
■アルツハイマー型認知症
認知機能の低下、人格変化を伴う、認知症の一種。脳内の神経細胞が死滅し、脳が萎縮し、知能ばかりか全身の機能が衰え、死に至ることも。日本では脳血管性認知症、レビー小体病と並び、最も多い認知症。なお、発症の詳しい原因はわかっていない。