「GLP-1受容体作動薬は前立腺がんを自壊させることはありませんが、細胞増殖シグナルである分裂促進因子活性化タンパク質キナーゼ(ERK-MAPK)を抑制することでがん細胞の増殖を防いでいると考えられます」
いまのところGLP-1受容体作動薬によるがん増殖抑制効果が確認されたのは前立腺がんだけだが、海外では乳がん、大腸がんでの研究が進んでいるという。
「前立腺がんについてはメトホルミンとの相乗効果も確認しており、今後は他のがんでの抗腫瘍作用や抗がん剤との併用効果も調べたい」という野見山准教授。これからは糖尿病治療薬の選び方が「がんを抑え、がん死を増やさない」ことに直結することになりそうだ。