専門医に聞く うつぶせ寝禁止で乳幼児突然死は防げるのか

公開日: 更新日:

「たとえば喫煙です。特に妊娠中の喫煙は赤ちゃんの体重を抑え、脳幹にある呼吸中枢の発達に悪い影響を与えます。赤ちゃんの周りで喫煙するのも同じです」

 母乳でなく人工乳で育てることもリスクになるというから驚きだ。

「母乳には眠りを致命的なほど深くしないホルモンが含まれています。しかも、人工乳を使っているお母さん方は、寝かせる前に多く飲ませる傾向にあります。母乳と違って人工乳は吸収が遅いので、なんとか吸収しようと睡眠中に胃の周りに血液が一気に集まり、眠りを深くしてしまうのです」

 こうした母乳のメリットがわかってきて、母乳育児がしやすい環境が整ったのだが、最近は、それを無視する保育施設が増えている。

「それもSIDSの遠因になっているのではないでしょうか。保護者が望めば保育施設は冷凍母乳の受け入れ体制を整え、母乳育児の継続を支援するよう配慮することが法律の指針など(児童福祉法や食育推進基本計画)で明記されているのに、冷凍母乳拒否の施設が増えてきたのは問題です」

 生まれたばかりの子供を失う家庭の悲しみはいかばかりか。少子化を防ぐという意味でも赤ちゃんのうつぶせ寝の禁止期間を延長すればよいという話ではない。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  2. 2

    永野芽郁は映画「かくかくしかじか」に続きNHK大河「豊臣兄弟!」に強行出演へ

  3. 3

    永野芽郁&田中圭の“不倫LINE”はどこから流出したか? サイバーセキュリティーの専門家が分析

  4. 4

    気持ち悪ッ!大阪・関西万博の大屋根リングに虫が大量発生…日刊ゲンダイカメラマンも「肌にまとわりつく」と目撃証言

  5. 5

    オリオールズ菅野智之 トレードでドジャースorカブス入りに現実味…日本人投手欠く両球団が争奪戦へ

  1. 6

    阿部巨人が企む「トレードもう一丁!」…パ野手の候補は6人、多少問題児でも厭わず

  2. 7

    乃木坂46では癒やし系…五百城茉央の魅力は、切れ味と温かさ共存していること

  3. 8

    初日から無傷の6連勝!伯桜鵬の実力を底上げした「宮城野部屋閉鎖」の恩恵

  4. 9

    新潟県十日町市の“限界集落”に移住したドイツ人建築デザイナーが起こした奇跡

  5. 10

    トランプ大統領“暗殺”に動き出すのか…米FBI元長官「呼びかけ」の波紋