精神栄養学の国内第一人者 血液検査で不足の栄養素を判定
功刀浩部長 国立精神・神経医療研究センター/神経研究所・疾病研究第三部(東京都小平市)
食生活と心の病気の関係を明らかにし、精神疾患の治療に役立てる「精神栄養学」。欧米では2000年ごろから数多くの研究成果の発表が行われてきたが、日本ではほとんど注目されてこなかった分野。その国内第一人者が、同センターの功刀浩部長(顔写真)だ。うつ病の危険因子として、昨年は「腸内善玉菌の減少」、今年は「肥満」との関係を明らかにしている。功刀部長が言う。
「BMI(肥満指数)30以上の肥満を持つうつ病の人は、非肥満のうつ病の人に比べて作業記憶や細かい作業速度などの認知機能が有意に低下していることが分かりました。MRI脳画像で比較しても脳の一部の体積が有意に減少しており、神経ネットワークの指標も低下しています」
このような検証を行うのは、過去の海外文献を総合的に分析すると、肥満やメタボ、糖尿病はうつ病のリスクを1・5倍高め、逆にうつ病は肥満やメタボ、糖尿病のリスクを1・5倍高める双方向性の関係があることが指摘されているからだ。
■食生活の見直しも欠かせない
では、どうして肥満がうつ病を引き起こすのか。