たとえ肥満であっても糖質は1日400キロカロリーは必要
高齢者では「痩せ」が死を招く大きな問題になります。一方で、高度の肥満も放置はできません。高度肥満のままでは思うように体が動かせませんし、腰、膝、足首に負担をかけます。もちろん、高度肥満が関係する生活習慣病のリスクもあります。高度肥満の人がリハビリを行う場合は、同時に肥満の改善にも努めてもらいます。
75歳以上で高度肥満の方の目標は、BMI(ボディー・マス・インデックス=体格指数)30未満。「体重(キロ)÷身長(メートル)の2乗」で算出します。体重減少の目安は、1カ月に1~2キロ程度になります。
この場合、食事の摂取エネルギーを落とすことだけに意識がいくと、タンパク質の摂取量も落ちてしまいます。タンパク質の摂取量が少ないと、体重が減少するときに筋肉が減りやすいです。高度肥満を解消しようとしたために、かえってフレイルやサルコペニアを招いてしまえば、元も子もありません。
タンパク質の摂取量は落とさず、ミネラルやビタミンの摂取量も落とさない。糖質と脂質の摂取量だけ減らします。通常の食事では実現しにくいので、プロテインパウダーを食事と一緒に取ってもらうことがあります。