海外留学は若手外科医にとって大きなプラス
海外で活躍する日本人の若手心臓外科医が増えていて、いまのままでは近い将来、日本国内で心臓外科医の「空洞化」が起こるのではないかと懸念されています。
私も、若い頃は海外で腕試ししてみたいという思いはありました。ただ、当時は、私が勤めていた病院では心臓外科医が少なかったうえ、手術も任されながら多くの経験ができました。その前に勤務していた病院は症例不足でそれほど経験を積めなかっただけに、かなり満足できる環境でした。そのため、結局、海外に飛び出すことはありませんでした。
しかし、いまの日本では、かつては手術を行っていた疾患も内科のカテーテル治療に移行し、専門医レベルでも医師数に対しての手術数が不足している状況です。そのため、若手が執刀を任されて経験を積む機会はそれほど巡ってきません。また、海外に比べると心臓外科医の“位置づけ”もそれほど高くはありません。そうした環境が若手の海外流出が加速している一因になっているのです。
■日本に戻ってくるように問題点を見直す必要がある