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平山瑞穂小説家

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

眼底検査後に映画館…瞳孔全開で何を見てもまぶしく後悔

公開日: 更新日:

 初めての時はまだ会社勤めをしていたので、検査のために午後、半休を取った。検査はあっけなく終わってしまい、そのまま帰宅するのもなんだかもったいない気がしたので、急きょ劇場で映画を見ていくことにした。

 忘れもしない、クエンティン・タランティーノ監督の「キル・ビルvol.2」である。

 眼底検査初心者の僕には、分かっていなかったのだ。点眼薬の効果が消えていない間の娯楽として、映画観賞がいかに向いていないかということが。

 なにしろ瞳孔が全開の状態なので、何を見てもまぶしくて、字幕もろくに読めない。

 しかも「キル・ビル」シリーズといえば、これでもかと言わんばかりの残虐な殺戮(さつりく)シーンの連続である。

 スクリーンに飛び交う血しぶきすらまぶしくて、ストーリーを追うどころではなかった。

 その後、検査を受けた時には、いさぎよく帰宅してしばらくは何もしないようにしている。

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