摂食、排泄、睡眠…日々の生活の恒常性を崩してはいけない
腸内細菌と心臓疾患の関係を見てみると、腸内環境が悪い人は便秘気味になってトイレで強くいきむケースが増え、血圧が急上昇して心臓や血管に大きな負担をかけることにつながります。
また、腸内細菌のバランスが崩れると、主に動物性タンパクの余剰分を腸内細菌が代謝して「TMAO」(トリメチルアミン―N―オキシド)という物質を産生します。このTMAOの血中濃度が高いと動脈硬化が進み、心血管イベントの発症が促進されることが分かっているのです。
つまり、①乳製品は腸内環境を整える効果がある②腸内環境を整えることは心臓疾患の予防につながる③ということは、乳製品は心臓疾患を予防する――という三段論法が成り立っているわけです。もちろん、動物性タンパクの過剰摂取が動脈硬化に良くないことは言うまでもありません。
そうした乳製品と同じように、ある病気の発症リスクを下げる効果が認められた成分は、ピンポイントでひとつの臓器に関与しているわけではなく、すべての臓器に関わっているといえます。ですから、研究のターゲットになった臓器=病気だけを考えるのではなく、「その成分が関与するすべての臓器=病気がしっかりコントロールできているか」を確認することが重要なのです。