非侵襲的検査の進歩が心臓治療の新しいエビデンスをつくる
中~高リスクの心臓疾患があって心臓手術を待機している患者が、心臓以外の手術を受ける場合、術前に身体的負担がかからない非侵襲的な心臓検査を受けた方が1年生存率が改善され、入院期間も短縮される――。カナダの研究グループがそんな報告をしています。術前の非侵襲的検査は、術後の心臓合併症を予防する可能性があるといいます。
心臓手術を受ける場合でも、術前の検査は非常に重要です。心臓検査には、主にカテーテルを使った侵襲的検査と、CT、MRI、超音波などの非侵襲的検査があります。20~30年くらい前は、検査を治療に直結させるには「心臓の状態をより詳しく把握できる侵襲的検査の方が良い」とされていました。
一方では、患者が心不全や心筋梗塞などにより重篤で状態が悪い場合、負担の大きい侵襲的検査を行うことには是非を問う声もありました。しかし、そういう時こそ正確な診断が必要で、負担以上に侵襲的検査がより良い治療を導き、より良い結果につながる。そうした考え方をベースに着々とエビデンス(科学的根拠)がつくられてきた経緯があります。