5年後に治る可能性 「遺伝子治療技術」で難病が消えていく
今年9月に、この病気の画期的な治療薬「ビルトラルセン」が日米同時に承認申請された。新薬は原因遺伝子の異常部位をワザと無視する「エクソンスキップ技術」を用いたものだ。患者のDNAと似た構造をしたアンチセンス核酸医薬によって「遺伝情報をダマして」、正常に近いタンパク質作りを実現する。
■新たな医療制度や法律が新薬開発に拍車をかけた
「難病が治らないのはその病気の研究が進まないからですが、背景に患者さんが少なく、『早く治すべき』との世論が形成されないことがあります。そのため公的な研究資金がつかず、研究が後回しにされたのです。患者数が少なければ研究は進みませんし、製薬企業が薬を作ろうとしても、高い開発費に見合った収益が確保できず、開発を断念せざるを得なかったのです」
この状況を打破したのが「希少疾病(国内患者数5万人未満)用医薬品指定制度」だ。米国で始まった制度だが、創薬や医療機器開発で世界をリードしたい日本もほぼ同じ制度を創設した。承認審査上の優遇を受けられることで製薬会社は創薬に踏み切れるようになったというわけだ。