牛乳やウコンに医学的根拠なし 医師が教えるお酒の新常識
来月には歓送迎会や花見など飲む機会も増える。二日酔いを避けるために飲み会の前に「ウコン」を飲んだり、事後に「シジミ汁」を飲んでいるサラリーマンは多いだろう。しかし、これらの効果はあまり期待できない。慶応大看護医療学部教授の加藤眞三氏に聞いてみた。
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―――お酒を飲む前に「牛乳」や「ウコン」を飲むと酔いにくいといわれますが、これは本当ですか?
「どちらも医学的な根拠はありません。まず、牛乳など脂質の多いものを飲むと胃の粘膜がコーティングされるから酔いにくいとはウソ。このような実験をした科学論文はありませんし、アルコールの成分であるエタノールは脂溶性かつ水溶性なので、牛乳を飲んだところでアルコールは体内にすみやかに浸透します」
――ウコン入りのドリンクやサプリも肝臓に負担をかけるということですか?
「アルコール性肝障害は、飲酒に伴う酸化ストレスによって起こります。酸化ストレスは、悪玉活性酸素(ヒドロキシラジカル)が鉄イオンを吸収することで生じる。よって鉄分を多く含むウコンは推奨できないのです」
――それではアルコール摂取の前に食べるとよいものはありますか?
「基本的には飲みすぎの症状を抑える研究はありませんから、科学的にこれを食べれば二日酔いに効くというものはありません。ただ、アルコール性肝障害を進ませるのが鉄分の過剰摂取のほかに、高脂肪食。そのため飲酒時には脂肪分の少ない炭水化物を一緒に取るのがいいでしょう。おにぎり、お茶漬け、ソーメン、そば、トースト、クラッカー。これらは胃の負担も少なく、二日酔いになった後の食事にも適しています」