在宅死は全体の1割 「病院で延命」は幸せな死に方なのか
死にゆく患者の延命治療をせず、在宅で看取る医師への批判は少なくなかったという。
「20年以上前から病院で延命措置をせずに在宅で患者を看取られてきた蘆野吉和先生(日本在宅医療連合学会・代表理事会長)がこうした取り組みを始められた当初は、周囲から冷たい目で見られることもあったようです。在宅死に対する理解が浸透しておらず、認知度も低かったため、家族はもちろん現場で働く医療関係者からも非難を浴びたと聞きます」
蘆野さんは、病院で死を確認するだけの儀式は不要だと説いている。それよりも自宅でゆっくりと穏やかに死の時を迎え、家族も息を絶えていく姿から自然と死を受け入れることが大事だというのだ。
「定年後に外科医から訪問診療医になった自分は“出たとこ勝負”でやってきたようなもの。手探りで、死なせる医療に取り組んでいます」
それでは、在宅死は最も理想的な死に方なのか。小堀さんは「そうとも限らない」と強調する。
(取材・文=稲川美穂子)