中川恵一
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中川恵一東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授

1960年生まれ。東大大学病院 医学系研究科総合放射線腫瘍学講座特任教授。すべてのがんの診断と治療に精通するエキスパート。がん対策推進協議会委員も務めるほか、子供向けのがん教育にも力を入れる。「がんのひみつ」「切らずに治すがん治療」など著書多数。

4月は必要量の8割に 輸血不足をカバーする2つの選択肢

公開日: 更新日:

 新型コロナウイルスの影響で、がん手術の延期が相次ぎ、患者さんに不安が広がっています。実は、その手術に必要不可欠な輸血用血液が足りないことをご存じでしょうか。

 輸血用血液は、多くが献血でまかなわれます。過去に起きた血液製剤による医療事故の教訓をふまえ、今では精密な検査や処理がなされていて安全性は高い。まれにアレルギー反応などを起こすこともありますが、輸血による感染症や合併症を起こすリスクはほとんどありません。

 日本赤十字社の献血センターやイベント会場での献血バスなどで献血したことがある方もいるでしょう。それが新型コロナの外出自粛で献血する方が激減したことが原因です。

 同社関東甲信越エリアの場合、4月1~20日に400ミリリットル献血を必要とする人数は6万7265人でしたが、協力者数は5万2959人。1万4000人分、2割以上も下回っています。献血協力のアナウンスがなされた5月は減少幅が小さくなったとはいえ、それでも20日間で約7500人分が足りません。

 緊急事態宣言が解除され、今後、献血に協力される方は増えるかもしれませんが、献血者数の低下は2月から見られていたため、十分な量にはすぐには回復しないでしょう。宣言解除後も、手術件数が8割程度にとどまっている要因は、輸血用血液の不足も関係していると思います。

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