在宅医療とはどのような医療でしょうか?病院との違いは?
よく「在宅医療と病院との違いは何ですか?」といった質問を受けることがありますが、僕の解釈では、病院はあくまでも治療するためだけに行くところで、入院というのは患者さんにとって「治療道場」みたいなものだと思うのです。味もそっけもなくて、朝6時に起きて夜9時に寝る。食事もそれなりで、朝8時、昼12時、夕方6時ときちんと決まっている。例えばお年寄りの患者さんが夜に「トイレに行きたい」からとか「眠れない」などといって出歩いていたら、危ないし睡眠が十分に取れていないといった判断で、睡眠導入剤を出したり、場合によっては身体抑制をするといった具合に、どうしても管理する視線が先に立ってしまいます。
一方、在宅医療では、生活の延長線上に治療があるという発想ですから、ネットフリックスなどを見て夜更かししようが、お酒を飲もうが、患者さんの自由です(もちろん、病気治療のためにNGなことがあれば、それはやめてもらいますが)。
例えば患者さんでよくあるケースが「食後に飲む薬」を余らせることです。最近は1日2食の人も珍しくありませんよね。そういう患者さんに朝昼晩と食後3回飲む薬を出すと、どうしても1回分が余ってしまいます。そんな時は、最初から朝と夜の薬で、症状をコントロールできる処方を考えるわけです。