コロナ禍で夜型人間が増加 無理な「早寝早起き」は寿命を縮める危険あり
■睡眠の質が低下して病気につながる
睡眠不足になると、交感神経が優位になっている時間が長くなる。交感神経が優位になると、神経伝達物質のアドレナリンやストレスホルモンと呼ばれるコルチゾールが多量に分泌される。その結果、心臓、脳、血管に大きな負担がかかり、高血圧、心筋梗塞、脳卒中といった病気の発症リスクが上がる。また、内分泌系や免疫系にも支障を来し、糖尿病やうつ病などさまざまな病気が起こりやすくなることがわかっている。無理に早寝早起きしていると、寿命を縮める危険があるのだ。
「体内時計は加齢によって変化し、高齢になると自然と早寝早起きになってきます。しかし、それはあくまで老化によるもので、健康の証しではありません。現在、われわれは『ライフリズムナビ』というシステムを使って高齢者の睡眠データを解析しています。さまざまなセンサーによって、利用者の睡眠時間、睡眠レベル、離床時間、離床回数、心拍、呼吸といった生体情報を1秒ごとに24時間365日計測できます。このシステムを高齢者施設に設置し、6000~7000人の睡眠データを収集中です。まだデータ件数が十分ではない上、解析中の段階で統計学的に断言はできませんが、見えてきた傾向があります。体調が急変したり、不幸にも亡くなってしまったりした人では、本人やスタッフが体調悪化を認識する1カ月以上前から、徐々に普段よりも早寝早起きになっていたのです」