筋弛緩剤を使う場合は併用する薬に注意する
以前は慢性の痛み(腰痛や線維筋痛症)に対して健康保険適用がないTCA(三環系抗うつ薬)のアミトリプチリンを使用することもありました。ただ、最近になって慢性腰痛に対する処方薬として使用されているのが、SNRI(セロトニン・ノルアドレナリン再取り込み阻害薬)のデュロキセチンです。痛みを抑制する経路(下行性疼痛=とうつう=抑制系)の働きを活性化し、鎮痛効果を発揮します。
この薬剤も当初は抗うつ薬として販売されていましたが、痛みに対しての効果が承認され、現在は慢性腰痛症をはじめ、変形性関節症や線維筋痛症にも保険が適用されています。1日20ミリグラムから開始して最大で60ミリグラムまで増量することができます。
気になる副作用として、服薬を開始してから早期に胃腸症状(悪心・嘔吐=おうと=など)、眠気、脈拍や血圧が変動するケースがあります。また、痛みの症状が改善した場合、中止・減量する際、時間をかけなければなりません。適切な使用が求められますので、医師の判断が必要です。
腰痛の治療では、ほかに「鎮痛補助薬」と呼ばれるワクシニアウイルス接種家兎炎症皮膚抽出液(ノイロトロピンなど)も使用されます。痛みの神経の感受性を低下させることで鎮痛効果を発揮する薬です。ただ、即効性はないので炎症を伴う急性の痛みよりも、慢性に長引く足腰や肩の痛み、しびれ、冷感、あるいは帯状疱疹(ほうしん)後のしつこいピリピリする痛みなどに適します。