アセトアミノフェン 安全性は高いが使い過ぎると肝障害のリスク
前回、腰痛の薬物治療に使われる「NSAIDs」(非ステロイド性抗炎症薬)について詳しくお話ししました。今回は、最近になって腰痛にも多く使用されるようになった解熱鎮痛薬「AAP」(アセトアミノフェン/商品名=カロナール)について解説していきます。
昨年から日本で始まった新型コロナワクチン接種では、副反応で生じる発熱に対応する解熱鎮痛薬としてアセトアミノフェンが推奨され、ドラッグストアなどで品薄状態が続いたのは記憶に新しいところです。
アセトアミノフェンは、脳の中枢神経や体温調節中枢に作用し、脳の痛みに対する感受性を低下させたり、皮膚の血管を広げて熱を放散させることで体温調節にも効果があると考えられています。NSAIDsとは違って炎症を抑える作用はほとんどなく、効き目が穏やかで体への負担や副作用も少ないため、子供や妊婦にも処方される薬です。
そのため、「小児用の熱冷まし」というイメージを持っていて、腰痛の強い痛みに対する効果を疑問に思っている方も多いのではないでしょうか。しかし米国や欧州では、以前からNSAIDs(ロキソプロフェンナトリウム、ジクロフェナクナトリウム、インドメタシンなど)よりもアセトアミノフェンの方が効果、安全性、価格の面でバランスが良いとして医療現場においても繁用されています。