国産初の新型コロナ経口治療薬はどれくらい効果があるのか
■投与でウイルス量が激減
では、塩野義の経口治療薬はどれくらい効果が期待できるのか。
ラゲブリオとパキロビッドは、重症化リスクがある軽症~中等症の感染者の入院・死亡を減少させる効果が認められていて、臨床試験では前者が約30%、後者は約89%減だった。
塩野義の経口治療薬は、入院や死亡を減らすという目的よりも、「症状をいかに速やかになくすか」という観点から臨床試験が進められてきた。
12歳以上の軽症から中等症の新型コロナ患者428人を治療薬群とプラセボ(偽薬)群に分け、1日1回の投与比較を行った国内第2/3相臨床試験の中間報告では、治療薬群は3回の内服を終えた4日目に80%以上の人で感染性のあるウイルスが検出されず、最終5回目の内服を終えた6日目には100%の人でウイルスの完全消失が確認されている。
また、感染で表れる倦怠感、頭痛、発熱などを含む12症状の改善効果については統計的に有意な差は認められなかったが、鼻水、喉の痛み、咳、呼吸困難などの呼吸器症状では有意な改善効果が見られたとしている。懸念される副作用はすべて軽度だったという。