自己流で押してはいけない「危ないツボ」はあるのか?
東洋医学では、ツボ(経穴)を刺激することで体の不調を整えられると考えられています。人体に流れている気血の流れを経絡と呼びますが、ツボとはこの経絡上に点在しています。
基本的に、施術として自身でツボを押す分には人体に悪影響はありません。ただし、一部に“危ないツボがある”と心配されるのは、空手などの武術で「急所」として押す部分とかぶるツボもあるためで、混同しているからだと思います。もっとも、押し方によって急所もツボとしての不調改善効果があることを知っておきましょう。
たとえば、「勝掛」と呼ばれる顎にあるツボは武術の急所にもなっています。歯が痛いときに痛みを和らげる効果があるツボです。施術としては、適度な刺激を与えることで、痛みの神経につながる生理機能を抑制させます。しかし、急所を攻撃する目的で強い刺激を与えると神経機能が停止してしまいます。痛みは和らぎますが、体の巡りには悪影響を及ぼすのです。
勝掛をはじめ、「四神聡」「当陽」「印堂」「太陽」など「奇穴」と呼ばれる特殊なツボが、いわゆる急所となるケースが多く、一般的な経絡上にあるツボとは異なります。経絡上にあるツボは、「十四経」と呼ばれます。循環系を14に分けた経絡の総称です。