腰痛治療最前線 検査で異常が見つからない慢性痛を改善する
「最初は侵害受容性疼痛に効く薬を出し、様子を見て神経障害性疼痛の薬に切り替えていくことも少なくありません」
■「痛みゼロを目標にしない」
患者側が知っておくべきこととして、まず「痛みゼロを目標にしない」。
「痛みをゼロにすることを目標にすると、なかなか達成できない。それよりも、達成可能な別の目標を設定することが重要です。目標を達成すると、脳報酬系が活性化し、慢性痛の軽減につながることが近年の研究で明らかになっているのです」
目標はなんでもいいが、前述の通り「達成可能」なもので、かつ、短期的な目標をいくつも立てることが望ましい。たとえば、「ディズニーランドを歩いて回れるようにする」という目標を立てたとする。そこまでいくには時間がかかりそうなので、「1日5分継続してできる運動をする」といった短期的な目標を立てる。それが達成できたら今度は「1日10分」を目指す。
体を動かすことも慢性的な腰痛を軽減させる。1980年代以降、運動が痛みに与える効果を証明する研究成果が多く報告され、薬に頼らないで痛みを軽減できる方法として慢性疼痛診療ガイドラインでも強く推奨されている。