薬のプラスアルファの効果が日本人の健康寿命に関係している
SGLT2阻害薬も糖尿病治療のために開発された薬で、血液中に余った糖を尿と一緒に排出させることで血糖を下げる効果があります。
以前から、臓器保護作用が指摘されていて、近年は慢性腎臓病や心不全の治療薬として有効なのではないかという期待が高まっています。実際、日本では糖尿病を合併しない慢性腎臓病に対しての使用が認められています。
また米国の「心不全診療ガイドライン2022年版」では、心不全の薬物治療としてSGLT2阻害薬の使用が「推奨」されているほどです。
DPP-4阻害薬も同じく糖尿病治療薬です。インスリンの分泌を増加させる作用を持つインクレチンというホルモンの一種「GLP-1」を分解する酵素(DPP-4)の働きを妨げることで血糖を降下させます。これも血糖コントロール以外に多面的な血管・臓器の保護作用が報告され、血管内皮機能の改善や糖尿病性腎症の進行を抑える一種の老化防止につながる効果が指摘されています。
スタチンは高コレステロール血症の治療に広く用いられる薬で、体内でのコレステロール合成を抑制します。日本の遠藤章医師が発見して開発されました。コレステロール値を下げるだけでなく、血管内皮機能改善、心筋保護、抗炎症、骨形成促進、免疫抑制といったさまざまな作用を持つとの報告があり、動脈硬化や腎機能低下を抑制させると期待されています。また、外国では大腸がん発生抑制効果や女性特有の乳がんや子宮体がん発症率の低下に関与しているというデータも報告されています。