まるでたばこの副流煙…「セカンドハンド・ストレス」の恐怖
ストレスというのは、他者へと伝播(でんぱ)する厄介な存在です。職場でイライラしている人がいると、自分もイライラが募りストレスにつながってしまう。こうした他人から受けるストレスのことを、「セカンドハンド・ストレス」と呼びます。
ペンシルベニア大学のロジンとロイズマンの研究(2001年)では、「自ら抱える不安を、言葉や態度で強く表現している人が視界に入ったとき、自分も同様の感情を覚える可能性が高い。その影響によって脳のパフォーマンスが悪影響を受けてしまう」と指摘しています。まるで副流煙のように、当事者ではない自分にも影響を及ぼしかねないというわけです。
マックスプランク研究所のエンガートらは、ストレスの感染力に関する実験(14年)を行っています。実に、被験者の26%が、ストレスを感じている人を見ただけで自身のコルチゾール(ストレスホルモン)値が上がったといいます。
興味深いことに、「セカンドハンド・ストレス」の感染力は、見知らぬ他者よりも恋人などのパートナーからの方が強く受けやすいといい、そのケースでは40%の被験者のコルチゾール値が上昇したそうです。