2型糖尿病なら注目したい 慢性腎症リスクを低下させる飲み薬

公開日: 更新日:

腎臓には血液中の老廃物や塩分をろ過して、尿として体外に排出する働きがあります。その中心が毛細血管の塊である糸球体で、それに連なるのが尿細管です。ここではろ過した尿(原尿)に含まれるブドウ糖などの栄養素やナトリウムやカリウム等の電解質など、ヒトに必要なものを再吸収します」

 糸球体や尿細管の細胞表面にはミネラルコルチコイド受容体(MR)があり、副腎から分泌されるアルドステロンと呼ばれるホルモンと結合することで、血圧調整やミネラルバランスを調整している。

 ただし、塩分過多になったり、血糖値が上がったり、アルドステロンの働きが過剰になったりすると、体の中に塩分が過剰に貯留して血圧を上昇させ、慢性炎症や線維化による臓器障害を起こす。

 逆に言えば、飲み薬のフィネレノンが先にMRと結合することで、アルドステロンの働きを阻害すれば、尿細管での再吸収が減り血圧の上昇が抑えられ、血糖値も下がり、腎臓も保護できるというわけだ。

「じつはこれまでも同様の薬はあったのですが、MRは尿細管以外の臓器の細胞表面にも点在しているため、薬によっては腎臓以外の臓器に作用して女性化乳房、高カリウム血症といった副作用が出ることがありました。フィネレノンは腎臓のMRにより選択的に働くうえ、薬の構造がステロイドのような骨格構造ではないため、副作用が起きにくく、腎臓の線維化などが防げるというわけです」

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    巨人今季3度目の同一カード3連敗…次第に強まる二岡ヘッドへの風当たり

  2. 2

    大阪・関西万博の前売り券が売れないのも当然か?「個人情報規約」の放置が異常すぎる

  3. 3

    大谷翔平の28年ロス五輪出場が困難な「3つの理由」 選手会専務理事と直接会談も“武器”にならず

  4. 4

    ヤクルト茂木栄五郎 楽天時代、石井監督に「何で俺を使わないんだ!」と腹が立ったことは?

  5. 5

    バンテリンドームの"ホームランテラス"設置決定! 中日野手以上にスカウト陣が大喜びするワケ

  1. 6

    菜々緒&中村アン“稼ぎ頭”2人の明暗…移籍後に出演の「無能の鷹」「おむすび」で賛否

  2. 7

    巨人「先発6番目」争いが若手5人で熾烈!抜け出すのは恐らく…“魔改造コーチ”も太鼓判

  3. 8

    ソフトバンク城島健司CBO「CBOってどんな仕事?」「コーディネーターってどんな役割?」

  4. 9

    テレビでは流れないが…埼玉県八潮市陥没事故 74歳ドライバーの日常と素顔と家庭

  5. 10

    国民民主党は“用済み”寸前…石破首相が高校授業料無償化めぐる維新の要求に「満額回答」で大ピンチ