世界中で導入されている「脊柱管狭窄症」の新たな治療法

公開日: 更新日:

 フローレンス法では、最初に局所麻酔下でX線透視装置を使用しながら、背中を1~2センチ程度切開し、患部である腰椎の棘突起の間に、一定の空間を開けるスペーサーを挿入。そうやって狭くなった脊柱管を広げます。

 局所麻酔で行われるので傷痕が小さく、筋肉の損傷が少ない。骨を削ることもないため、体への負担が小さく、術後2~3時間ほど安静に過ごした後は、自分で歩いて帰宅できます。

 セルゲル法は、より一層負担の小さい治療法です。局所麻酔を行い、特殊な液体状のインプラントを患部に注射します。注射針のみを使用するので傷は極小。回復も早いです。

 さらにこの治療法ですと、椎間板のボリュームが減少せず、治療後にゲル状のインプラントとして椎間板に残るため、外科的治療やレーザー治療では不可能だった椎間板の修復も可能となり、それにより椎間板自体が自身の再生能力によって回復するという効果も期待できるのです。最近の研究では治療後に椎間板の容積が増加しているケースがあることも分かってきています。


 なおフローレンス法やセルゲル法で脊柱管の神経の狭窄が解消されても、運動療法は不可欠です。なぜなら脊柱管狭窄症の大本の原因には、良くない姿勢や動作により生じたストレスなどの物理的な刺激があり、それにより発生した炎症が、神経の痛みを感じる部分に波及するからです。

 これらを改善する運動療法、そして炎症を早期に緩和させ、かつ体質改善を目的とした食事療法も患者さんに指導しています。

(ILC国際腰痛クリニック東京・簑輪忠明院長)

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    永野芽郁“”化けの皮”が剝がれたともっぱらも「業界での評価は下がっていない」とされる理由

  2. 2

    ドジャース佐々木朗希の離脱は「オオカミ少年」の自業自得…ロッテ時代から繰り返した悪癖のツケ

  3. 3

    大阪万博「午後11時閉場」検討のトンデモ策に現場職員から悲鳴…終電なくなり長時間労働の恐れも

  4. 4

    “貧弱”佐々木朗希は今季絶望まである…右肩痛は原因不明でお手上げ、引退に追い込まれるケースも

  5. 5

    遠山景織子の結婚で思い出される“息子の父”山本淳一の存在 アイドルに未練タラタラも、哀しすぎる現在地

  1. 6

    桜井ユキ「しあわせは食べて寝て待て」《麦巻さん》《鈴さん》に次ぐ愛されキャラは44歳朝ドラ女優の《青葉さん》

  2. 7

    江藤拓“年貢大臣”の永田町の評判はパワハラ気質の「困った人」…農水官僚に「このバカヤロー」と八つ当たり

  3. 8

    天皇一家の生活費360万円を窃盗! 懲戒免職された25歳の侍従職は何者なのか

  4. 9

    西内まりや→引退、永野芽郁→映画公開…「ニコラ」出身女優2人についた“不条理な格差”

  5. 10

    遅すぎた江藤拓農相の“更迭”…噴飯言い訳に地元・宮崎もカンカン! 後任は小泉進次郎氏を起用ヘ