常用薬の作用によって「物忘れ」が生じるのはなぜか

公開日: 更新日:

 認知症患者の中で最も多いのはアルツハイマー型認知症で、日本では全体の約7割を占めると推計されています。物忘れや見当識障害、不安やうつといった症状が特徴的で、近年は認知症という言葉が浸透したことで「高齢で物忘れが増えたら認知症に違いない」と考える方も多くいらっしゃいます。しかし、認知症の疑いで受診した患者さんの中には、処方薬が原因となる認知機能障害のケースも報告されており、特に高齢者では注意が必要です。

 その原因のひとつに「第1世代抗ヒスタミン薬」が挙げられます。アレルギー反応を引き起こすヒスタミンをブロックする働きがあり、花粉症や鼻炎、皮膚のかゆみといったアレルギー症状に対して有効な薬です。一方で、ヒスタミンは脳内の覚醒や記憶を担っているので、ヒスタミンの働きが阻害されると、眠気を誘発したり覚醒が低下してボーッとするといった副作用が起こりやすいのです。

 また、過活動膀胱や気管支喘息の治療薬には「抗コリン作用」を持つ成分を含み、副交感神経の神経伝達物質であるアセチルコリンを抑制します。アセチルコリンは脳の中でも使われている神経伝達物質でもあるため、抗コリン作用の強い薬剤を使用すると、高齢者においてせん妄や記憶障害、認知機能を障害するリスクを高めます。

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    佐々木朗希はロッテの「足枷」だった…いなくなってFA石川柊太の入団がもたらす“これだけのメリット”

  2. 2

    絶対守護神マルティネス「巨人入り」急浮上の舞台裏…米敏腕記者が「2年24億円で合意間近」と

  3. 3

    フジテレビが2番組を終了させダウンタウン松本人志に「NO」を突き付けたワケ…日テレとは異なる対応

  4. 4

    ロッテ佐々木朗希「強硬姿勢」から一転…契約合意の全真相 球団があえて泥を被った本当の理由

  5. 5

    米倉涼子「ドクターX」興収30億円でも満島ひかりが阻む"興収女王"の座…期待値の高さから落胆の声も

  1. 6

    立花孝志氏が大阪・泉大津市長選で惨敗…有権者の投票行動を後押しした「お笑いみたいな噂」

  2. 7

    佐々木朗希の「独りよがりの石頭」を球団OB指摘…ダルやイチローが争奪戦参戦でも説得は苦戦必至

  3. 8

    安倍昭恵氏が石破外交“切り札”に? 米トランプ次期大統領との会談模索に「私人」を担ぎ出す情けなさ

  4. 9

    安倍昭恵さん×トランプ夫妻「夕食会」の舞台裏…永田町で飛び交う臆測と“パイプ役”の名前

  5. 10

    M-1グランプリ審査員は“完璧な布陣”…ますます高まる「松本人志不要論」