どうすれば「自己肯定」できるのか? 自分の記憶も他人の評価もいい加減なもの
その上で、他者からの評価が自己形成に大きく関わってくる。
「『〇〇さんは優しい人』と言われれば、『自分は優しい人』と自覚しますし、誰かと競って評価されると『自分は〇〇が得意な人』と認識する。しかし、他者からの評価は必ずしも真実というわけではありません。おべっかを言う人もいれば、あえて意地悪を言う人もいる。ところが、人は他者からの評価をもって、『自分は〇〇な人だ』と信じてしまうのです」
自分の記憶は、数ある記憶の中から都合の良いものを選び、他者からの評価も第三者の主観や誤認が珍しくないため、山下医師は「“自分という概念”は存在しない」と言い切る。
「多くの人が、なぜ自己肯定感の不足に悩まされるのか……その答えもここにあります。そもそも『存在していない自分』を肯定することはできないからです」
では、どうすればいいのか。
「①の自分に対する記憶に関しては、過去の記憶に対しての捉え方を変えていくことです。良い記憶はそのまま、嫌な記憶については『そこから何を学べたのか』を自問自答し、その出来事を自身の行動を変えるチャンスにしていく。②の他者からの評価に関しては、自分の仲間や味方を増やす生き方を学ぶことが大切で、私は(自己愛の)コフート心理学を推奨しています」