「2024年問題」で実質賃金プラス転換は絶望的…連続マイナス過去最長23カ月、家計の犠牲はまだ続く
家計の苦しみは、いつまで続くのか。厚労省が8日発表した2月の毎月勤労統計調査でも実質賃金はマイナス。実に23カ月連続で、リーマン・ショックを背景に最も長く減少した2007年9月~09年7月に並び、過去最長を記録した。ただ、リーマン危機の頃の実質賃金マイナスは典型的な不景気型だった。
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当時は世界同時不況に日本も巻き込まれ、製造業を中心に大幅に人員を削減。09年7月に完全失業率は5.5%に跳ね上がり、翌8月に有効求人倍率が0.42倍と過去最低に沈んだ。09年春闘の賃上げ率は1.83%。円高も急激に進み、08年12月には一気に87円台まで上昇した。日経平均がバブル後最安値7054円98銭を付けたのは、09年3月10日のことだ。
あれから15年。今や日経平均は34年ぶりにバブル期最高値を更新し、史上初の4万円台を突破。24年春闘の賃上げ率は33年ぶり5%超の高水準だ。直近2月の完全失業率は2.6%、有効求人倍率1.26倍と、見違えるほど改善している。
2月の名目賃金に当たる現金給与総額は前年同月比1.8%増で、26カ月連続のプラスだ。それでも物価上昇に追いつかず、2年近くも家計悪化が続く深刻な事態に陥っているのである。
「リーマン危機の大不況から脱するため、政府・日銀がとった施策はあくまで大企業中心。その象徴がアベノミクスの異次元緩和です。円安誘導で輸出企業の業績が回復した半面、輸入コストは上昇し、物価は高騰。大企業の空前の利益は家計の犠牲の上に成り立っています。植田日銀の緩和継続で、1ドル=152円目前と34年ぶりの円安水準が続き、この先は賃上げ分の価格転嫁も進む。いずれも値上げ圧力となり、実質賃金のマイナスは当面、続きそうです」(経済評論家・斎藤満氏)