ベア大幅アップでも「賃上げと経済成長の好循環」は生まれないこれだけの根拠

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「賃上げの力強い動きがあり、手応えを感じている」――。岸田首相は13日、参院予算委員会の集中審議で胸を張った。同日は今年の春闘の集中回答日。労働組合の要求に対して経営側の協調姿勢が目立ち、満額回答や要求を上回る回答が相次いだ。

 自動車や電機、鉄鋼などの産業別労組が加盟する金属労協の集計(13日時点)によると、基本給を底上げするベースアップ(ベア)は平均1万4780円。前年の平均8131円を大幅に上回った。

 大企業の景気の良い話ばかりが聞こえてくるが、問題は岸田が繰り返している「賃上げと経済成長の好循環」が実現するのかどうかだ。経済評論家の斎藤満氏がこう解説する。

「経済成長に必要な要素は『労働投入量』『資本投入量』『生産性』の3つです。『労働投入量』を増やす、すなわち雇用や労働時間を増やすことで成長につながる。また、企業が設備投資などに資本投下して供給力を高めたり、AIなどの新技術などを導入して生産性を高めたりすることも成長に寄与します。一方、賃上げは一定の果実を再配分する、いわば労使の『分捕り合戦』に過ぎません。『賃上げと成長の好循環』を好意的に解釈すれば、賃上げによって労働者の意欲が高まり、生産性が上がるとも捉えられますが、経済理論に照らせば、賃上げと成長は無関係です」

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