令和にまさかの「株高バブル不況」突入か…実質賃金22カ月連続減で“失われる70万円”の深刻度
〈はたらけどはたらけど猶わが生活楽にならざり〉──労働者の苦悩を詠んだ石川啄木の名歌が思い浮かぶ。厚労省が7日発表した1月分の毎月勤労統計調査(速報値)で、物価の影響を考慮した「実質賃金」は前年同月比0.6%減。実に22カ月連続のマイナスとなった。
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1月の実質賃金の指数は、2020年の月平均を100とする基準値から18ポイントも下がっており、金額ベースに直すと実質5万7294円もダウン。ボーナス支給月(6月、12月)以外は低く出るとはいえ、このペースが続けば年額68万7528円も目減りする計算となる。いくら名目賃金が微増したところで、今なお物価上昇には追いつかない。年間の賃金が20年からの4年間で実質70万円も失われれば、暮らしは一向に楽にならないわけである。
当然、庶民の節約志向は強まるばかり。総務省の家計調査によると、消費支出(2人以上世帯)は昨年12月まで10カ月連続のマイナスだ。個人消費が6割を占める実質GDPにも好影響を及ぼすわけもなく、2四半期連続のマイナス成長である。とりわけ消費低迷による内需の弱さが目立ち、日本経済はリセッション(景気後退局面)に差し掛かっている。
今年の春闘がショボい結果に終われば、いよいよ危機的状況に陥りかねないのだが、現状は心もとない。公益社団法人「日本経済研究センター」の2月調査だと、主要企業ベースの賃上げ率は3.88%と昨年をやや上回る程度。うち基本給を底上げするベースアップ(ベア)分は2.22%で、連合が目標に掲げる「賃上げ水準5%以上、ベア3%以上」を下回る見込みだ。
「日銀が見通す24年度の物価上昇率はプラス2.4%です。この数値よりベアが上回らないと、実質賃金はなかなかプラスに転じません。ましてや、日銀の物価見通しは当たったためしがない。一時1ドル=150円台をつけた円安傾向は収まらず、予想より物価が上振れすれば、もう目もあてられません」(民間エコノミスト)