自民党の「先送り」は国民ダマしの常套句…防衛増税に関する所得税増税時期の決定延期を喜んではいけない
「アベノミクスの成功を確かなものとするため、消費税10%への引き上げを18カ月延期すべきであるとの結論に至った」
2014年11月。故・安倍晋三首相(当時)は消費増税関連法で15年10月から10%に引き上げることが明記されていた消費増税の実施時期について1年半(17年4月)の先送りを公表。「アベノミクスへの信を問う」などと言って衆院解散、総選挙に臨んだ。
安倍氏はさらに16年7月に行われた参院選の1カ月前、新興国の経済の落ち込みなどを理由に消費増税の実施時期を19年10月に再び先送りすると表明。
結局、増税先送りを決めた直後の衆参両選挙で安倍自民は独り勝ち。その後、国民の反対の声は政府・与党に届くことなく、消費税率は引き上げられることになった。
22年末に突然、閣議決定した安全保障関連3文書で、23~27年度の5年間の防衛費総額を43兆円と決めた岸田文雄前首相(67)も“手口”は同じだ。
世論の強い反発を受けた岸田氏は防衛費増の財源に充てる増税に関する法整備を先送りし、23年10月の衆院予算委員会で増税の開始時期を問われると、「実施時期は27年度に向けて複数年かけて段階的に実施するという枠組み」「景気や賃上げの動向などを踏まえて判断する」として判断先送りを明言。この時も、野党側から「一体いつ増税の具体案が示されるのか」「衆院解散、総選挙を控えているゆえの先送りか」といった指摘が出ていた。