米住宅メーカーを巨額買収した積水ハウスの大勝負 約7125億円は“高値掴み”か
「大きな買い物。さすがに相手方の資産査定や経営陣の『身体検査』には万全が尽くされているんじゃないですか」。株主の一部からはこんな皮肉も漏れる。
東京・五反田の物件を巡る不動産取引で地面師グループの術中にはまり、まんまと55億円もの大金をだまし取られた住宅大手・積水ハウスが、今度は米国で「ひと勝負」(業界関係者)に打って出る。
総額49.14億ドル(約7125億円=1ドル145円換算)の巨費を投じ、全米準大手級の住宅メーカー、M.D.C.ホールディングス(以下MDC)を買収することを決めた。今年7月末までの手続き完了を目指す。
買収は積水の米統括会社傘下の受け皿会社がMDCを合併する形で実施する。買収価格は1株63ドルで、買収資金は大半を三菱UFJ銀行をはじめとする主要取引金融機関からの借り入れで賄う。調達は「すでに手当て済み」(幹部)で、積水としては過去最大規模のM&Aとなる。
MDCはコロラド州デンバーに本拠を置くホームビルダー。ニューヨーク証券取引所にも上場し、2022年12月期の売上高は57.17億ドル、最終利益は5.62億ドル。22年の住宅引き渡し数は9710戸で全米11位につける。買収が完了すれば積水と合わせた引き渡し数は1.5万戸に拡大し、同5位にまで浮上するという。