植田日銀が「利上げ」めぐり板挟み腰砕け…余計なサプライズで円安加速
円安物価高に歯止めがかかることはない。覚悟を決めなければならない展開だ。日銀は14日の金融政策決定会合で、市場の予想通り利上げを見送り。その上、アドバルーンを揚げていた国債の購入減額に関する具体策決定を来月の会合まで先延ばしした。思わぬサプライズに投機筋が円売りに走り、東京外為市場の円相場は一時1ドル=158円台に下落。円安圧力は強まる一方だ。
「3月にマイナス金利政策を解除した植田総裁は金融正常化に前向きでしたが、5月上旬に官邸に呼び出されて一転。岸田総理から円安是正を求められたものの、利上げには難色を示され、頭を抱えているようです」(日銀関係者)
となれば、長期金利上昇へと誘導し、日米金利差を縮小するほかないが、財務省は国債費の負担増に直結するため反対の立場。板挟みになった植田日銀はみるみる腰砕けになったというのが、コトの顛末らしい。
■マーケットは7月までやりたい放題
経済評論家の斎藤満氏はこう言う。
「4月会合の『主な意見』を見ると、内部では早期利上げで円安に対処しなければいけないとの危機感が高まっている。しかし、各方面に過剰に配慮する植田総裁は一向に腰が据わらない。7月末開催の次回会合まで日銀が動かないことは明白になりましたから、足元を見たマーケットはやり放題。円売りは加速するでしょう。4月末に34年ぶりの円安水準となる1ドル=160円台に乗った際、政府・日銀は過去最大の約9.7兆円を投じて為替介入しましたが、原資には限りがある。同じ手は何度も使えません」