人材不足倒産が過去最大ペースで急増中…中小企業の人材流出進み、大手との賃金格差は開く一方
従業員の離職や採用難などを原因とする「人手不足倒産」が急増している。帝国データバンクが4日発表した調査によると、今年上半期(1~6月)だけで182件発生しており、前年同期の110件から大幅に増加。年間の過去最多を上回るペースで推移している。
「従業員10人未満」の小規模企業の倒産が全体の8割を占める。少人数の企業ほど「人手不足倒産」の負のスパイラルに陥りやすい。
「すぐに人員を補充できる大手企業と比べて、従業員が少ない中小企業ほど退職者が出るとダメージが大きく、経営が傾いてしまうことが多い。一度、経営難に陥ってしまうと、賃上げができず人材が確保できなくなる。社員の定着も難しくなってしまう。悪循環に陥り、倒産してしまうのです」(帝国データバンク情報統括部・旭海太郎氏)
今年の春闘では、大手企業を中心に満額回答が続出。連合の最終集計では、賃上げ率が5.10%と33年ぶりに5%台を超えた。一方で、日本商工会議所の調査では、中小企業の賃上げ率は3.62%。企業規模による格差が浮き彫りになっている。