果物から海の幸まで…「食卓のSDGs」で注目される企業3社はココだ
■「服部水産」海を休ませる?養殖の「百年はまち」
世界で初めてハマチの養殖を成功させた香川県東かがわ市引田は「ハマチ養殖発祥の地」として知られその歴史が約百年続いている。この間、引田の海の深さを生かした生簀づくり、海を汚さない餌の開発、健康維持のための給餌・育成方法など研究を重ねてきたという。
しかし、水産庁によれば海面漁業・養殖業は2018年までの30年間で58%も減少しており、海の資源の枯渇、生産コストに見合わない価格相場など経営環境は厳しく存続の危機が叫ばれている。
そんな中、親子4代にわたりハマチ養殖を担う服部水産が、持続可能な養殖事業を目指して2022年に『百年はまち』を立ち上げた。天然の稚魚を使わず、人工孵化させた稚魚(人工種苗)から育てることで、稚魚の価格に左右されず、同時に水産資源を保護しながら徹底的に美味しさを追求したハマチだ。また崩れにくく、高品質な固形えさの使用で海を汚しにくいメリットもあるという。
サスティナブルで驚いたのは、水温が低くなる冬には、ハマチの養殖を一旦休み、しっかり”海の休息期間”をとるというもの。これは引田の海が翌年また元気な魚を育てるための大事なインターバルなのだそう。
「環境要因で相場が大きく左右される現在の水産業の構造のままでは養殖業の継続が厳しい。市況ではなく品質で評価される養殖業を次世代に渡せるよう『百年はまち』をつくりました」(3代目服部秀俊社長)
引き締まった身と抜群の歯ごたえがありうなる美味しさだ。