「憲法9条を変えろ」金も出すが口も出す経団連の“究極の要請”
政治のみこむ軍産複合体(4)
三菱重工など軍需企業は1998年、米国への武器輸出解禁を政府に要請した。米国は同盟国である。共同で開発・生産した武器を輸出するくらいはいいだろう。そういう理屈だ。
だが米国相手の輸出であっても、なかなか解禁は実現しない。武器輸出3原則には、憲法9条に基づき「平和国家としての我が国の立場から、それによって国際紛争等を助長することを回避する」目的があるからだ。三木武夫首相が76年に国会で答弁した。
それでも経団連はあきらめない。
2004年7月、「今後の防衛力整備のあり方について」という提言の中で、日本の軍需産業が苦境にあると訴えた。
例えば、欧米の企業との防衛事業の売上比率の比較。ロッキードマーチンが87.8%と高いのに対して、日本は最大手の三菱重工業でさえ13.4%と低いことを示した。下請け企業10社が近年、防衛関連事業から撤退したことも挙げた。
同年10月、今度は小泉純一郎首相の諮問機関である「安全保障と防衛力に関する懇談会」がさらに踏み込む。武器輸出について「少なくとも米国との間で3原則を緩和すべき」と提言した。この諮問機関の座長は、東京電力の荒木浩顧問、座長代理はトヨタ自動車の張富士夫社長だった。