五輪延期なら選手や経済損失は…6つの疑問を専門家に聞く

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【Q5】引退に追い込まれる選手の名前

 五輪でのメダル獲得を目標に血のにじむような努力を重ねてきたアスリートの中には、大会が先延ばしされるのは「引退」を宣告されるに等しい選手もいる。

 2020年を最後に現役生活に終止符を打つと公言する選手は多く、例えばラグビー日本代表WTBの福岡堅樹(27)は今大会の7人制ラグビーを最後に医者への転身を公表。競泳男子の瀬戸大也(25)は「年齢的にピークなので、次(パリ五輪)は考えられない。東京がスイマーとしての集大成になる」と明かしている。

 他にもソフトボールの上野由岐子(37)、男子カヌーの羽根田卓也(32)、卓球では水谷隼(30)、石川佳純(27)らメダル獲得経験のあるベテランも、「東京五輪で一区切り」などと口を揃える。新種目スポーツクライミングの野口啓代(30)は初舞台が「最後の大会になる」と表明している。そういう覚悟で今夏の東京五輪を目指したベテラン選手にとって1年は重い。2年となればなおさらで、時間の経過は肉体の衰えに直結、パフォーマンスの低下は免れない。

「三十路のベテランはもちろん、瀬戸ら20代の選手でも競技を離れる可能性があります。瀬戸は幼少の頃からトップスイマーとして君臨し、リオでは銀(400メートル個人メドレー)を獲得するなど、世界選手権も含めて数々のメダルを手にしている。かねて瀬戸は『将来はファッションブランドを立ち上げたい』と話していた。飛び込み元代表の優佳夫人と家庭を築いたことから、今回の五輪が絶たれれば、セカンドキャリアに気持ちを切り替えるのではないか」(アマチュアスポーツを幅広く取材するスポーツライターの作地理香氏)

 今大会を花道に第一線を退くどころか、延期された五輪を前に引退を余儀なくされる選手は間違いなく出てくる。

【Q6】メダル獲得に直撃する競技は?

「延期したら、菅野(巨人)と千賀(ソフトバンク)は出られなくなるんじゃないの?」

 公開競技で行われる野球について、プロ球界ではこんな話が出ている。 菅野と千賀は、昨年のプレミア12をコンディショニング不良で辞退したものの、五輪では日本の両輪として期待されている。だが、2人はかねて、メジャー挑戦の意向があり、早ければ今オフにもポスティングによるMLB移籍が認められる可能性がある。野球評論家の高橋善正氏がこう言う。

「そうなると、メジャーのベンチ入りロースター(26人)の選手は、五輪の派遣が認められておらず、出場は不可能になる。菅野も千賀も、五輪が延期になったからといって、メジャー行きを諦めることはないと思う。投手は、肩や肘をいつ壊すかわからないというリスクを背負ってプレーしている。バリバリ活躍できる時期に勝負したいと考えるのが普通です。もし、2人がいないとなると、チーム力の低下は必至。至上命令の金メダル獲得が遠のきかねません」

 野球以外にも、メダルへの期待が高い競技は影響を受ける。昨年、ドーハで行われた世界陸上で日本記録を更新、銅メダルを獲得した男子400メートルリレー(サニブラウンら)は、1年延期なら来年8月に開催される世界陸上(米国)との兼ね合いが生じる。史上最強メンバーの呼び声が高い男女卓球(各3人)も、メダル獲得戦略に影を落としかねない。

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