山本和範さん“不屈の男”は北九州市で「館長」として貢献中
99年9月30日の対ダイエー戦も忘れられない。ダイエーで13シーズン活躍し、96年から古巣の近鉄に戻っていたが、42歳になり引退か否かに揺れていた。
この日はダイエーが福岡移転後初、ホークスとしては26年ぶりのリーグ優勝を飾った後の本拠地最終戦。ホークスファンも山本さんを待っていた。
そして4対4で迎えた九回表。代打に送られた山本さんが逆転決勝ソロを放った。
「僕は現役を続けるつもりやったから最初っから狙っとった。ドンピシャやったね」
ダイエーファンも大喜び。試合後の優勝セレモニーのために用意したはずの紙吹雪が乱舞し、「セレモニー時にはほとんど残っていなかったのは、今もホークスファンの語り草」(元スポーツ紙OB)。
現役時代の話題となると、山本さんは身ぶり手ぶりを交えて冗舌になる。さながら漫談。取材中、何度も大笑いさせられた。
※なお、本取材は福岡県に緊急事態宣言が発出される前に行い、補足取材はリモートでした。
(取材・文=高鍬真之)