侍ジャパン初戦はサヨナラ勝ちだが…稲葉監督の投手起用は危ない
テレビ画面に向かって思わず、「分かってないな」と呟いてしまった。
28日に迎えた侍ジャパンの初戦。結果はサヨナラ勝ちでドミニカ共和国を退けたが、稲葉篤紀監督(48)の投手起用に一抹の不安を覚えた。
日本は先発の山本由伸(22=オリックス)が6回2安打無失点。ドミニカ打線から9三振を奪う快投を見せた。先発投手としては十二分に役割を果たして百点満点のピッチング。あとは、12球団を代表するリリーフ陣でしのいでいくだけ――と思っていたら、2番手としてマウンドに上がったのは、青柳晃洋(27=阪神)だったのだ。
冒頭の言葉が口から漏れた直後、青柳は両打ちを含めて左打者が6人並ぶ4番からのドミニカ打線に3安打を許し、2点を先制された。だが、青柳は責められない。稲葉監督の継投策に首をかしげざるを得なかった。
青柳は阪神のローテーション投手だ。入団6年で、リリーフの経験はほぼない。変則のサイドスローで国際試合の切り札になるとの期待が首脳陣にはあるようだが、それは本来の持ち場を守ってやっての話。先発が早期降板したケースは別として、常に長いイニングを投げている先発投手だから、1イニングはいけるだろうという考えは非常に危ない。ただでさえ、金メダルを期待される自国開催の五輪で、しかも先発の山本が完璧な投球をした。後を受ける投手は大きなプレッシャーを感じるもので、日頃から厳しい場面で投げているリリーフが本職の投手に任せるべきだった。試合も六回を終えて0―0と緊迫した展開だっただけになおさらである。