「震災列島」石黒耀著

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「震災列島」石黒耀著

 ある日、政府は史上初めて東海地方に巨大地震の「警戒宣言」を発令し、対策に乗り出すが、総理はこの機に乗じ巨額の国家負債の一挙解消を画策する。

 一方、名古屋で地質調査会社を営む主人公・明石真人は、暴力団に家族を崩壊に追い込まれ、復讐を誓っていた。しかし計画の成功には自然災害が不可欠だった。そんな中、明石は東海地震と東南海地震が同時に発生し、大津波が名古屋を襲うと確信。だが、実際やってきたのはとてつもない超巨大地震だった。

 家も電信柱も立ち木も同方向へ一斉にかしげ、大地と電線が波打つ。10階建てマンションが急に1階分縮み、アスファルトが割れ、ねっとりした茶色い水が噴き出す。そして浜岡原発が……。

 東日本大震災の7年も前に書かれた本書だが、原発のメルトダウン、インフラの打撃など関連災害の描写がリアル。当時の最新の研究データに基づいて書かれた大災害小説だ。

 (講談社 1210円)

【連載】古今災害小説7選

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