風邪で「葛根湯」 効く人・効かない人の違いを医師が解説
■体が冷えている人は葛根湯の働きがムダに
なぜ、体質が葛根湯の効き目を左右するのか? 簡単にいえば、ウイルスは発熱によって殺されるが、葛根湯はその働きをより強力にサポートする効果がある。ところが、そもそも日頃から代謝が悪く、体が冷えている人は、ウイルス感染で熱が上昇せず、せっかくの葛根湯の働きがムダになってしまうのだ。
人間の体は、脳の視床下部で平熱が定められている。これを「セットポイント」と呼ぶ。ウイルスに感染すると、熱に弱いウイルスを退治するために視床下部の指令でセットポイントが上昇し、発熱。交感神経の末端からノルアドレナリンが放出され、血液循環がよくなる。すると、リンパ球が活性化され、病巣に集まる。やがて発汗が起こり、神経伝達物質のアセチルコリンが副交感神経や運動神経の末端から放出され、リンパ球に作用して免疫システムが働く。このようなメカニズムで、葛根湯がウイルスを退治する一連の流れによって、高熱が出る。
葛根湯は7つの生薬(葛根、麻黄、桂皮、生姜、芍薬、甘草、大棗)で成り立っている。そのうちの麻黄がセットポイントの上昇に伴い体温をより上昇させる。そして桂皮と生姜がセットポイントを下げ、発汗や解熱をきたし、平熱に戻しやすくする。