リハビリ栄養の現場ではBMIのチェックが欠かせない
リハ栄養の現場で定期的にチェックする数値のひとつがBMIです。体脂肪や筋肉量を見るのがベストですが、検査機器がないと評価しにくい。BMIは体重と身長が分かれば、体重(キログラム)÷身長(メートル)の2乗で簡単に出せるので、使い勝手がいいのです。
もし、BMIが基準値22より低くて体重が減少していれば、「この人は筋肉量を増やすような筋トレは控えめに」と判断します。
BMIが16など数値があまりに低すぎる患者さんが紹介されてくることもあります。この場合は、本格的なリハビリの前に十分な栄養を取るようにしてもらいます。食べることがリハビリに必要なのです。さらに、ベッドに座ったり呼吸を良くするなど、軽めのリハビリを行います。
一方、BMIが高ければ、筋肉を使うようなリハビリを積極的に行います。リハビリで意図的に体重が落ちているようならそのままで、むしろ増えているなら、その人に適した運動と食事を考え実施してもらいます。
血液中のタンパク質の濃度を測る血清アルブミン値は、炎症や疾患がない患者さんでは、栄養状態を表す指標になります。アルブミンは主に、肝臓で作られるタンパク質。食事を十分にできていない人では、“原材料”がないので肝臓でタンパク質が十分に合成されません。結果、アルブミン値が下がります。この状態が続けば、筋肉量も減ります。ただし、アルブミン値は食事をきちんとできていないのではと考える材料になりますが、これだけで「栄養状態がいい・悪い」を判断できるかというと、それは言い過ぎです。低栄養状態のほかにも、さまざまな要因で数値が下がるからです。
特に,何らかの疾患で炎症がある患者さんでは、組織の修復に必要な細胞や物質を集めるためにサイトカインという物質が作られます。これが肝臓でのCRP(反応性タンパク質)の合成を促すため、栄養状態にかかわらず、アルブミン値が下がります。