著者のコラム一覧
吉田潮ライター、イラストレーター

1972年生まれ、千葉県出身。ライター、イラストレーター、テレビ評論家。「産まないことは『逃げ』ですか?」など著書多数

<6>認知症進行で貯金おろせず泣く母 ドンパン節を歌う父

公開日: 更新日:

 父と母は年金暮らしだ。父名義の口座から母が生活費を引き出す。一企業を長年勤めあげた父は、厚生年金と企業年金でそれなりの額を受け取っている。

 しかし2016年3月に父は銀行のカードをなくし、印鑑の場所や暗証番号も分からなくなった。父を銀行に連れて行くも、らちが明かない。母はとうとうキレてしまった。 

「しっかりしてよ! どんどん頭おかしくなってるじゃない!」

 すると父は「どーんどーんパァーンパーンどーんパァーンパーン」と、ドンパン節を歌ったのだ。もともとあまのじゃくというか、旅先の静寂かつ神聖な場所でわざと放屁するような困った男だった。でも家族を経済的な困窮に遭わせたことは一度もない。おそらく父はいつものようにふざけたのだ。ところが、生活費を下ろせなくなる恐怖と不安を抱えた母は、夫の不甲斐ない姿に愕然(がくぜん)とした。怒りを通り越して泣けてきたという。

 認知機能が低下し、生活に支障を来すのが認知症だ。銀行でお金を下ろせなくなったのは明らかに支障だ。姉から聞いた話では、高速道路で期限切れのクレジットカードを使おうとして渋滞を起こし、通行料金の値上げのせいだと狂ったように主張したこともあったという。姉は認知症専門医に見せたほうがいいと考えていたようだ。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    都知事選2位の石丸伸二氏に熱狂する若者たちの姿。学ばないなあ、我々は…

  2. 2

    悠仁さまの筑波大付属高での成績は? 進学塾に寄せられた情報を総合すると…

  3. 3

    キムタクと9年近く交際も破局…通称“かおりん”を直撃すると

  4. 4

    竹内涼真“完全復活”の裏に元カノ吉谷彩子の幸せな新婚生活…「ブラックペアン2」でも存在感

  5. 5

    竹内涼真の“元カノ”が本格復帰 2人をつなぐ大物Pの存在が

  1. 6

    「天皇になられる方。誰かが注意しないと…」の声も出る悠仁さまの近況

  2. 7

    二宮和也&山田涼介「身長活かした演技」大好評…その一方で木村拓哉“サバ読み疑惑”再燃

  3. 8

    渡辺徹さんの死は美談ばかりではなかった…妻・郁恵さんを苦しめた「不倫と牛飲馬食」

  4. 9

    小池都知事が3選早々まさかの「失職」危機…元側近・若狭勝弁護士が指摘する“刑事責任”とは

  5. 10

    岩永洋昭の「純烈」脱退は苛烈スケジュールにあり “不仲”ではないと言い切れる