著者のコラム一覧
平山瑞穂小説家

1968年、東京生まれ。立教大学社会学部卒業。2004年「ラス・マンチャス通信」で日本ファンタジーノベル大賞を受賞。糖尿病体験に基づく小説では「シュガーな俺」(06年)がある。

「インスリンの量を減らして」と主治医が毎回言う理由は

公開日: 更新日:

 血糖値の過去1~2カ月間の平均値とも呼ばれるヘモグロビンA1cが、僕は6.0前後で、健常者並みであると前に書いた。それは本来、喜ばしいことなのだ。しかし主治医からは毎回、「低すぎる。7.0くらいを目指して」と注意される。

“低いほうが望ましい数値”をもっと高くしろと言われるのは一見矛盾しているようだが、主治医がそう言うのにも理由がある。それだけA1cが低いと、低血糖も頻発しているはずで、それを心配しているのだ。

 その理屈はわかる。高血糖を恐れるあまり、インスリンを打ちすぎて低血糖を起こし、揚げ句、命まで危険にさらすようでは元も子もないからだ。

 でも、現に高血糖と闘っている当事者は僕であって、主治医ではない。言う通りにした結果、合併症を起こしたとしたら、どう責任を取ってくれるつもりなのか。

 高血糖であることは、放射線被曝に似ていると僕は前から思っている。ごくたまに微量の放射線を浴びたところで、人体にはほとんどなんの影響もないが、微量でも日常的に浴びつづければ、やがて臨界点を超え、体に異常が出始めるだろう。それを可能な限り避けようとすることの何がいけないのか。おかげで、診察室で主治医とケンカ寸前になることすらある。僕は主治医にとって、決して「いい患者」ではないのだ。毎回、判で押したように「インスリンの量をもっと減らして」と指示してくる主治医に向かって、かつてこう反論した。

■関連キーワード

日刊ゲンダイDIGITALを読もう!

  • アクセスランキング

  • 週間

  1. 1

    興南(沖縄)我喜屋優監督「野球しかしていない高校生の将来は誰が保証するのでしょうか」

  2. 2

    フワちゃん芸能界追放へ…やす子への暴言炎上は鎮火せず SNSの“NGフレーズ”が致命傷

  3. 3

    中丸雄一「まじっすか不倫」で謹慎!なぜ芸能人は“アパホテル”が好きなのか…密会で利用する4つの理由

  4. 4

    KAT-TUN中丸雄一“アパ不倫”の大きすぎる代償…路上ナンパした女子大生と密会、活動休止で全番組降板

  5. 5

    フワちゃん「やす子いじめ」で性格の悪さ露呈…“篠原ともえ級”キャラ変しか生き残る道なし?

  1. 6

    小嶋陽菜およそ16億円でアパレル事業を売却…連続赤字の柴咲コウに欠ける“商才”の圧倒的な差

  2. 7

    中丸雄一「恥の総合デパート」化でファン裏切り…謹慎方法は渡部建パターン、不倫現場は袴田吉彦型

  3. 8

    中丸雄一が妻・笹崎里菜さんを語らぬ「本当の理由」…旧ジャニタレとファンの“関係”は不変?

  4. 9

    健大高崎(群馬)青柳博文監督「野球部の年間予算が1億円? わはははは…」

  5. 10

    フワちゃん暴言→謝罪は何が問題だったのか? 大炎上の鎮火方法は1つだけ…識者が見解