Y染色体に載っている遺伝子数はどんどん減っている
Y染色体の大きさは、X染色体の3分の1しかないのですから、載っている遺伝子の数の違いもその程度はあると思われる人も多いでしょう。
ところがそうではないのです。文献によって多少の上下がありますが、アメリカ国立医学図書館のホームページによれば、Y染色体の遺伝子はせいぜい50~60種類。対するX染色体には800~900種類もの遺伝子が載っているそうです。Y染色体は、男性と女性を分ける重要な役割を担っているにもかかわらず、思いのほかスカスカです。
より詳しい研究によって、男女を分けているのは「SRY」と呼ばれる、たった1種類の遺伝子であることが分かっています。SRYはY染色体上にあって、胎児を男の子として成長させる役割を担っています。染色体の組み合わせがXXなら、SRYがないので女の子になります。
しかしSRY遺伝子に突然変異が生じて、正常に作動しないことがたまに起こります。すると染色体の組み合わせはXYでも、生まれてくるのは女の子になります。またSRY遺伝子が、X染色体にコピーされてしまうことが、まれに起こります。すると染色体はXXでも、男の子が生まれてくるのです。染色体や遺伝子レベルで見ると、男女の違いは結構あやふやです。