中国の論文から見た新型肺炎「重症リスクの高い人」とは
「急に発症して肺の中でのガス交換に支障を来す病態で、重篤な肺炎や誤嚥性肺炎、敗血症などの基礎疾患に続いて1週間以内に発症する低酸素血症です。胸部のX線画像では両側の肺に炎症による影が認められるのが特徴です」
ARDSは急激な呼吸困難が発生し、放っておくと多臓器不全を起こし死に至ることが少なくない。実際、生存者のARDSの発症率45%に比べて死者のそれは81%と高かった。症状で最も多かったのは発熱で52人中51人に見られた。以下、咳、呼吸困難、疲労感という順だが、52人のうち6人は発症から2~8日後まで発熱は見られなかったという。発症からICUへの入院の日数は7~12・5日だから、人によっては発熱とともに重篤な状態に陥ったと考えられる。
「つまり、新型コロナウイルス感染症は急激に悪化して、年を取ると、発熱により新型コロナを疑っては遅すぎることがある、ということです。ですから、熱がなくても咳があり、疲労感があるという高年齢層は、新型コロナに対しては注意が必要です」