日本のエイズ患者は見えなくなった コロナ禍で保健所検査が51.5%減
日本での指標疾患で多いのは、以前はカリニ肺炎と呼ばれていた「ニューモシスティス肺炎」、「カンジダ症」(食道、気管、気管支、肺)、「サイトメガロウイルス感染症」「HIV消耗性症候群(全身衰弱)」などだ。
1985年以降、厚労省は「国内のエイズ発生動向」でエイズ発症前の「HIV感染者」と「エイズ患者」に分けて新規患者数を報告している。
たとえば、2018年に報告された新規エイズ患者は377人、新規HIV感染者は940人の合計1317人だった。1日当たり約4人が新たに見つかっている計算で、毎日1人は検査と同時に「いきなりエイズ」を告げられていることになる。これは、10年以上、自分がHIV感染者だと知らずに生活している人がいかに多いか、ということだ。
「日本では男性同性愛者の患者が多く、そうした人たちの病気と思われがちですが、世界的にはHIV感染者の半数は女性で、男女間での感染が主流です。梅毒やクラミジアなどの性感染症になっている人はHIVに感染しやすく、逆にHIVの人はその他の性感染症になりやすい。いまはセックスとは無縁であっても若い頃に遊んだという人も、男女を問わずそのリスクがあるのに多くは気づいていないのです」