「急性緑内障発作」は激しい頭痛や吐き気がサイン…一晩で失明する危険も
房水は、目の中のレンズ(水晶体)と茶目の部分(虹彩)の間を抜けて隅角に排出される。加齢に伴い水晶体が大きくなると、さらに狭隅角になり眼圧は上がりやすくなる。眼圧の正常値は10~20㎜Hgとされるが、急性緑内障発作を起こすと60以上になる。高眼圧によって視神経が障害されると、最悪のケースでは一晩のうちに失明に至る危険があるというから注意したい。
とりわけ夜間に眼圧が上がりやすいという。
「狭隅角の人は、瞳が開くと隅角が塞がりやすくなります。瞳は暗い場所では大きくなるので、急性緑内障発作は夜に起こりやすい。また、下向きになると水晶体と虹彩が完全にくっついて急に房水が流れなくなります。そのため、狭隅角の人が夜に下向きで作業したり、うつぶせになっていると急性緑内障発作を起こしやすいのです」
ほかにも胃薬や風邪薬に含まれる「抗コリン薬」や睡眠薬などには、瞳孔を開く作用があり眼圧が上がりやすい。眼科で遠視や狭隅角を指摘されたことがある人は、服用前に医師に相談するといい。
「激しい頭痛や嘔吐の症状から救急車を呼んでも、多くの場合、頭の病気を疑われてしまいます。眼科医でなければ急性緑内障発作と見極めるのが難しく治療が遅れやすい。実際、救急搬送先で診断がつかず、翌日に目が見えないことに気付いて当科を受診した患者さんもいます。急激な頭痛や吐き気で驚かれると思いますが、片目が充血していないか、視力が低下していないかご自身で落ち着いて確認することが大切です」