なぜ、名カウンセラーより親の「傾聴・共感」が大事なのか?
その相手は、感情不全の病理が軽ければ友人やカウンセラーなどの専門家の力を借りてでも乗り越えられますが、その病理を根深くこじらせているほど、どんな名カウンセラーでも太刀打ちができなくなってしまいます。そんな中で、最大の特効薬は、その病理が生まれてきたまさに「親子関係」という構造そのものにこそあり、何歳になろうが他の誰よりもお子さんが理解しわかってもらいたいと心の底から願っている、その親御さんに自らの気持ちを受け止めてもらうことなのです。
■子どもの成長に不可欠な「健全な甘え」の欠如が原因
だから不登校やひきこもりの問題は「甘やかしすぎ」が原因でなく、逆に十分に甘えさせたつもりであったお子さんの気持ちを十分には理解できておらず、あえて言えば「形だけ甘やかしていても、子の成長に不可欠な健全な甘えは与えられていなかった」とすら言い換えられるでしょう。
中高年になっても買い物依存などで親の脛をかじり続けているひきこもりの方の中には、「子ども時代に本当の意味では何ひとつ心から甘えさせてもらえなかった復讐をしている気がする。だからいくら今ブランドものを買ってもらっても、自分でもおかしいと思うが、まだ足りないとしか思えない。でも買ったもので本気で欲しかったものなど何ひとつない」と、満たされない渇望感を実際にお話してくださる方もおられるほどです。