帰り道がわからない…認知症やその疑いがある行方不明者は2万人弱
中でもこの「誤認」のように徘徊したり興奮して歩き回ったりする症状は、物忘れよりも家族をはじめ周囲の人を困らせることになり、より深刻だといえます。
このような認知症患者さんにみられる症状全般を医学的にはBPSD(Behavioral and Psychological Symptoms of Dementia)と呼び、日本語では「認知症の周辺症状」と訳されています。
この症状の中には徘徊、攻撃的行動などの異常行動、うつ状態、不安、幻覚・妄想、睡眠障害など、さまざまな症状が含まれています。
ただしこれらの症状は、術後や入退院といった環境変化などによって急性に発症するが、その原因が除去されれば改善する、という一過性の「せん妄」とは明らかに異なるものです。
対策としては、まずお薬の調整などもありますが、それでも徘徊などによる失踪を防ぐために、最近ではテクノロジーを使った見守りサービスや、靴の中にGPSを装着する商品などもあります。
冒頭の患者さんは50代の息子さんがおり、頻繁に交流していないものの、金銭的には支えるというスタンスだったため、徘徊後はすぐにショートステイに入居することができました。